Thinking about Marine Environment!


02 新エネルギーってなに?


06 水素エネルギー/燃料電池:新エネルギーを備蓄、輸送する未来のエネルギーシステム

太陽エネルギーや風力エネルギーは、尽きることのない“再生可能な”天然エネルギーですが、これを貯蔵したり、輸送したりすることは困難です。新エネルギーにとって最大の弱点、“備蓄”と“輸送”の問題を解決するために、期待がかけられているのが、水素エネルギーです。

太陽発電などによって発生させた電気により、“水”を電気分解し、水素と酸素に分離させ、水素を液化して、あるいは水素吸蔵合金に吸着させて輸送、貯蔵します。そして、必要なときに必要な所で酸素と化学反応させ、エネルギーを得ようというのが、水素エネルギーの原理です。原料が“水”であり、排出されるのが“水”であるという極めてクリーンなエネルギー媒体です。

また、天然ガスなどを改質して水素を主燃料としたガスを酸素と化合させ、エネルギーとして得るのが燃料電池です。水素を利用することで発電効率、熱効率を高くすることができ、主に排出されるのは水蒸気だけで、窒素酸化物の排出が少ないのが特徴です。

水素エネルギーは、21世紀のエネルギー媒体の主役になるといわれています。しかし現在のところ、実用化されているのは、宇宙ロケット用燃料ぐらいです。元素のなかで最も軽い物質ですから、これを液化するためには-253℃という極めて低い温度が必要であり、また、貯蔵のため水素吸蔵合金などの開発が不可欠です。つまり、一般産業や家庭で実用化するためには、その安全性やシステムを確かなものにする技術開発が不可欠なのです。


WE-NETシステムの概念図
“WE-NET”とは、ニューサンシャイン計画の1つである、“水素利用国際クリーンエネルギーシステム技術”の略称です。クリーンエネルギーである水素のネットワークを、世界中に広げるための技術開発が進められています。

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[出典]『新エネルギー技術入門』