Following the Pass of Polar Bears.


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白クマの写真撮影へ出発だ。昼食用に魔法瓶にブラックコーヒーを入れ、チーズと果物2個を鞄に詰める。
レストランのコックが紹介してくれたガイド役のブライアン・ラド−ンが、緑色の“キャデラック”で迎えにきてくれた。それは名ばかりで、緑色に塗った1973年製のそれはそれは古くて、重そうな2〜3トン・クラスのトラックである。こんな車で、東京を走ったら、新聞記事になりそうだ。彼は、コーヒーの入った大きな魔法瓶、1リットル入りのジュース、サンドイッチ、ベーコン、チーズ、クッキー、キャンディー、それとたばこを車に積みこんでいる。そんなに食料をたくさん持参するのは、極寒の地では、予測できないことがおこるからである。昨夜、車の中で一晩置き忘れていたジュースは、シャーベットになっている。
彼は40匹のカナディアン・エスキモー犬のブリーダーでもあるが、画家、極北における大自然の達人、そして野生生物保護局、世界から来るプロのカメラマン、白クマを研究している科学者たちが白クマやベルーガの情報を聞きに来る人だ。
氷点下10℃以下だと、やたらにのどが渇く。冷蔵庫の中で、野菜が乾くのと同じ理屈かもしれない。車が走り出すと、いきなりまっ平らな雪原に出た。雷鳥が飛んでいる、やや、北極キツネもいる。まさに極北の大自然のまっただ中だ、急にそわそわしだす。犬を飼っている場所に着くと、野生生物保護局の役人が、車の中へティータイムを取りに入って来た。一緒にコーヒーとおやつを食べる。“食べろ食べろ、飲め飲め、水分を十分補給しろ”というのがブライアンの口癖である。カリカリに焼いたベーコンは、とても旨い。栄養価も高く、重いカメラ機材と重装備の衣服で行動する者にとって、最適な食べ物だ。
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