Following the Pass of Polar Bears.


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ここに集まる人たちは、いつも陽気だ。笑顔こそ最高の社交術と言わんばかりだ。
いつも明るい笑い声で16年間もドイツから通い続けているプロのカメラマン。英国のBBCテレビ局のカメラマン。話し好きだがフランス語しかしゃべらないフランスの放送局のカメラマン。黙々と食事するオーストラリアからカリブーを撃ちにきたハンター。
家族を1200キロも離れたウイニペッグにおいて、単身 Northern Study センターで、極北の研究をしている科学者。日本にも来たことがあるというメルヘンチックな白クマを描く女性の画家。
隣の駅トンプソンから16時間かけて汽車を運転してきた運転士。2時間遅れはあたりまえ、夏だったら4時間遅れることもあるよと、謎めいたことを言う。
イギリスや米国からやってきて、今のシーズンだけガイドをしている若者たち。すっかり極北の大自然に魅せられてしまい、1日も長くチャチルに滞在を願う、アメリカから来たジャンボジェットの機長夫妻。“明日はきっと天気が悪いから、チャチルへ飛行機が来ないよねえ”と問いかけてくる。そんなこと言ったって……。
地元の人たちも、ここではすることもない長い夜の飲み仲間である。
“子クマを失った母クマ”の悲しい話を、涙を浮かべながらしてくれた地元の若いガイド。顔中髭で、口がよく見えない地元の無口なトラッパー(罠猟師)。夜遅くなると酔っぱらっているコック。ビール1本ですっかり舌が回らなくなり、いつもHISAと言えなくなるタグボートの船長。
みんな、みんな、白クマに魅せられた人たちだ。こちらに来てから、驚くほど聞き上手になっていた。
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