Following the Pass of Polar Bears.


Photo

次の日から月面探検車のようなバギー車で写真を撮りに行っていた。このバギー車は、窓までの高さが4メートルほどもあり、1本450キロもある巨大なタイヤをつけている。これなら白クマが立ち上がっても、大丈夫だ。
白クマが通る。カメラを構える。地上最大の肉食動物と目が合う、自分が興奮してくるのがわかる。
10日くらい経つと、バギー車からではなく、大地に自分の足で踏ん張って、大自然の鼓動を感じながら、目線で白クマを捉えたいと思うようになった。
そんなある日、いつものレストランで、コックが声をかけてきた。“HISA! まだ飽きずに白クマの写真撮っているのか?”。
“勿論だよ。地上最大の野生肉食動物に目があったら、興奮するよ”と、今日あった話をする。
“そうか。じゃあ俺の友だち、紹介しようか? 彼がエスキモー犬を飼っている場所に、今、白クマがウロウロしてるしているよ。彼は、少し変わっているけど、きっとHISAとは気が合うよ”。ということは、私も変わっているということか。
エスキモー犬を飼っている彼が、白クマ研究家やプロの写真家の間で、世界的な有名人であることを、その時は知らなかった。彼こそが、白クマや極北の大自然への扉を開けて、極北の大地に銃を持って、五感を駆使して、私と一緒に歩いてくれる人になるなどとは、もちろん思いもよらなかった。
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