Following the Pass of Polar Bears.


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ターミナルビルの中に入ると、チェックインカウンターが2つあるだけだった。ロビーには、毛皮がついた厚手のパーカーや重そうな靴を履いた人たちが、飛行機から降りてきた人たちと、抱き合って再会を喜んでいた。壁に目をやると、『困った時には、この電話の受話器をお取り下さい』と、英語とイヌイット語で書かれた看板があった。何かほっとした。この町の人はきっと親切なのだ。
ところがだ、何と荷物がない! 待てど暮らせどウィニペッグで預けた荷物が見あたらない。ツンドラの景色より、もっと暗い気分になった。もし出てこなかったらどうしよう。下着6枚、靴下12足、下シャツ6枚、ワークシャツ6枚、フリースのジャンパー3枚、セーター2枚、ウオーマーパンツ6枚、オーバーパンツ1本、手袋2枚、帽子2、ホッカロン200枚、フィルム200本、カメラ2台、レンズ5本、カメラ用予備の電池4個、三脚1本、そしてマイナス70℃に耐えられるブーツ、そして梅干し1瓶が入った荷物がない。この極寒の地で、これから、どうなるだろう。運良く次の飛行機で、荷物が運ばれてきても、明日の15:00まで待たなければならない……。
空港の係員に聞くと、“外にあるよ”とこともなげに言う。なんと荷物は全て外に放置されたままだ。寒風吹きすさぶ夕闇の迫る中、置きざりにされた荷物を取りに行く。やれやれ、よかった。でもウイニペッグ空港で搭乗の時にくれた荷物預かりの半券は、一体何を意味するのだろうか。
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