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starクロスくん、世界チャンピオンに?

阿部選手をみた瞬間、ボクは“いける!”と感じていた。彼は、ボクより細い。同じ条件で対戦すれば、どう考えても、ボクのほうが有利である(でも、これって、体重のこと無視してない、クロスくん……)。もしかして、彼を破れば、ボクが世界チャンピオン? このコーナーのタイトルも、『世界チャンピオン、クロスくん!』に衣替え?

“じゃ、やりますか!”
“やりますかって?”
“もちろん、タイトルマッチですよ、タイトルマッチ!”
“でも、僕これから試合があるし……”
“いいから、いいから!”

無理矢理、ボクは阿部選手を、会場の脇の使われていないアームレスリング台のところに連れていく。もはや、これまでの低姿勢のボクは存在しない。

“これで、世界チャンピオン……”

さっき、教えてもらったルールにあわせて、準備をするボク。

“レディー! ゴー!”

つぎの瞬間、ボクの手の甲がタッチパットに触れていた。
“え? も、もう一度……”
“はい、いいですよ”

だが、何回やっても、結果はかわらない。世界チャンピオンの夢が……。
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