島田対梅田
すでに、決勝進出を決めている島田のまえで、梅田は苦戦していた。
“日本代表で、日の丸を背負うのがこんなにプレッシャーだったなんて……”
そのとき、島田の顔を見ると同時に、深呼吸をする梅田。
“タイム! おしっこ、いってきまーす!”
トイレに駆けだしていく。そこで梅田はあることに気づくことになる。
“日本代表とか、日の丸とか、そういうのはオレにはにあわない! オレがビリヤードしてるのは、ただ島田さんと闘いたいから! だから、オレはキャロム・スリークッションをやってるんだ!”
トイレからもどってきた梅田の表情は、リラックスしていた。そして、50対47の接戦を制するのである。
“つぎは島田さんですよ!”
“おお!”
だが、決勝戦は50対40で島田の勝利。梅田はあと一歩のところで敗退してしまった。しかし、ここにバンコク・アジア大会のキャロム・スリークッション・シングルスの金・銀メダルが確定し、アジアに、いや世界に、この種目での日本のレベルの高さをアピールすることになる。
こうして、いまも2人の師弟関係を越えた闘いは続いているのであった……。
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