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![]() | “で、できたー!” |
“パコーン!”
乾いた、気持ちのイイ音がコートに響きわたり、一筋の閃光となったボールが正面の壁に当たり、反射したボールがコートの隅に転がっている。渚ちゃんは1歩も動けない……。 “いま、クロスくんがサーブではじまって、決めたから、1点ゲットね!” スカッシュは、サーブ権ありのハンドアウトルールで、9点マッチで行われる。 “よーし! このままゲーム行きましょう!” 『これで、渚ちゃんに僕の実力を!』と思った10分後のスコアは9対1……あの1点はラッキーだったんだ……。 “けど、さっきよりイイ顔になってるよ!” コートから出てきた僕を見て、真知子さんはそう告げてくれた。たしかに、汗ダクでちょっと疲労感もあるけど、気分はスッキリしている。 |
“これがスカッシュのイイところなの!”
そう言ってくれる渚ちゃんが、僕には女神さまのように見えていた。 “渚ちゃん、僕、一生懸命スカッシュやります! そしたら……” “あっ! ダメよ、クロスくん! ナギちゃんは、ユージっていう年下だけど、ジュニアチャンピオンの彼氏がいるの! その彼に勝つためには、せめて週5ぐらいスカッシュしないと……” “そ、それじゃマンガ描けないじゃないですか!” マンガ家と日本代表、双方の道のりの長さを改めて実感するクロスくんであった……。 |
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