A Rosarian's Diary
5月31日 曇りのち晴れ

ごおごおとすごい風が吹き荒れた次の日、セントセシリアの最初の一輪が咲いた。駒場ばら園のおばあさんが言ったとおり、うす桃のくちゅくちゅ。香りがすごい。正直にいうと、あ、ローズウォーターの香りがする、が第一印象。こういう本末転倒は少し悲しい。5日ほど枝で咲かせ、今朝摘んでテーブルへ。こうやってコンピューターにむかっていても、ほんわりと匂う。つるバラは、とげも少ないかわりに香りもあまりしなかったから、なんだか少し照れてしまう。ピュアな初恋の後、清純な色気をもつ女の子とつきあいはじめた男の子の気分(あくまで推測)。

つるバラは、ほぼ咲き終わった状態。しおれだしたので、花がらもぜんぶ摘んだ。2番花に期待して。先日、埼玉の与野市というところに行く機会があったが、駅前から目的地の劇場までえんえんバラが咲く町だった。まず、小さいラーメン屋やカラオケ屋がぎっしり並ぶ高架下に沿ってバラの花壇があった。あいだは細い歩道になっているのだが、今の季節、左からはラーメン、右からはバラの香りが立ちのぼってくるわけで、歩く人はふしぎな気分だろう。

ものには適した背景があるというのに、日本人はそういうことにとても鈍感だと思う。バラの向こうにパチンコ屋、見たくないでしょう? だから私は東京ではよく片手で部分的に隠してものを見たりする。この歩道も、行きは右だけを向いて歩き、帰りは左だけを向いて歩いた。それもとっても不自然なんだけど。さすがにここのバラたちはよく管理されていると見え、病気ひとつしていない。でも、どこかつくりもののようで、バラ自身も咲いてることがあまりうれしそうではないようだった。








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セントセシリアが咲いた。ピンクってなんてかわいい色なんだろうと、ひさびさに思う。


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サマースノーの花がら摘み。伸びすぎたグミの枝もカット。



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同じく与野市で見かけた家庭菜園。ぶどう棚もあり、見たこともない大型アーティチョークが咲いて(?)いた。うそっぽいバラより心なごむ風景でした。



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