A Rosarian's Diary
5月11日(火)曇りのち雨

3日ほど留守をして、昨日戻る。さすがに毎日の水やりが欠かせないこの季節。出発の日は早起きして、土が乾かないように全部の鉢をポリ袋で包み、たっぷりの水をあげていった。とくに乾きやすいものとバラたちの表土は、湿らせた新聞で覆った。結果はまずまず。不在の間に驚くほど伸びたモモが少し葉をぐんなりとさせ、病床にあったブラックリリーは残念ながら黄土色に枯れていた。が、残りはどれもぐいぐいと成長して土もまったく乾いていない。

余裕をもって並んでいたはずの植物たちがオシアイヘシアイしていてる有様に、夏の力はすごいなあとうなる。つるバラも然り。夜半に戻ったのだが、暗闇のなかに白いふんわりしたものがポンポン浮かんでいて、一瞬目を疑った。満開。柔らかい花びらをほころばせて、サマースノーがポンポンと咲いていた。明らかに去年より多い。ロザリアン一年生の夏の学期末試験、及第点には達したようだ。

今朝は朝陽の中でつるバラを眺め、花がら摘みをする。これをしないと木は養分を消耗するいっぽうになるそうで、花は満開後3日ぐらいで本葉2枚だけをつけて切り戻さなければいけない。作業は早朝か夕方の、花が締まっているときがいい。バラにはさみを入れていると、とてつもなくロマンチックな気分になる。

昔、スコットランドにあるスピリチュアル系コミューンに少し滞在したとき、そういえば花摘みを仕事としてやらされた。長靴をはいて花畑に入り、あの時は何の花を摘んだんだろうか。やっぱり、とてつもなくしあわせな気持ちだった。摘んだ花は、ピーナッツバターの空の容器に大ざっぱに集められ、コミューン内の売店みたいなところで売られた。それが、おとなになって土に触れた記憶の最初。ごくふつうに土に触れていた子供時代からそのときまで、自分の関心はすっぽり別の場所にあったような気がする。あのときの深いところでの幸福感が、今につながっているのかもしれないなあ。

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花がらをカフェオレボウルに。


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近所のバラ屋敷にて。茶系のバラは私の憧れ。







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咲きこぼれるサマースノー。この1年間の集大成。


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これも近所のうちの黄色のバラ。青い空によく映える。



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