A Rosarian's Diary
5月2日(日)晴れ

ゴールデンウィークで田舎から母親と甥がやってきた今日の午後、つるバラの最初の一輪が咲いた。“お母さんを歓迎してくれたんだね。うれしいねえ”と、私似で能天気メルヘン病の母が言う。

母も実家でバラを育てている。バラだけでなく、庭には母が丹精するたくさんの植物が育っている。小さい頃から、庭にしゃがみこんで花をいじる丸い後ろ姿をいつも見てきたし、どこを歩いていても、母は人の家の庭ばかり覗いて、“きれいにしてるねえ。◯◯を見てごらん。きれいだねえ。かわいいねえ。お母さんも欲しいなあ”とうらやましがっていた。先ばかりを急ぐ子供の私は、花見道草ばかりの母にいらつき、“花なんてどこがそんなに面白いの!”と息巻いた。

母が育てるのは大輪高芯のハイブリッドティーで、小学校の時はよく学校に持って行かされた。複雑な色あいのきれいなバラを持って行ったとき、担当だった美術の先生が絵に描いてくれたこともある。それは母の数少ない自慢になり、私は毎年毎年、この時期になるとその複雑色のバラを学校に持って行った。

母は今も変わらない。井の頭公園まで散歩がてら歩けば、やはり人の家の庭ばかり覗きこんでしあわせそうだ。知らない間に私のつるバラもいじっていて、枝の位置も鉢の配置もそれとなく変わっていた。そして予想通り、“お母さんも欲しいなあ”。来た来た。そう思いながらも、ぷっくりした蕾のついた枝を1本切ってあげた。それにしても、この私が母にさし木の養子を出すことになるとは。人生わからないものである。

心配ごと。ブラックリリーの葉が下の方から黄ばんできた。植え替えの影響だろうか。少し前にニンニク、トウガラシなど植物エキスのみで作られているという防虫剤を試しに撒いたのだが、それがいけなかったのかもしれない。









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母に分けた枝を持って。甥っこです。


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これこそきっとベーサルシュート。すごい勢いで伸びている。



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サマースノーの今年はじめの一輪。



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