A Rosarian's Diary
3月初旬 旅先の日記帳より〜東北にて。

3月5日。朝8時半の東北新幹線で秋田へ。ひさびさに温泉三昧の旅。このところの東京は温かく、鉢の土があっというまに乾いてしまう。4泊5日の旅は少し心配だが、朝たっぷりと水をやり、うしろ髪を引かれる思いで旅立つ。新幹線、奥羽本線、日本海に沿って走る五能線を乗りつぎ、津軽半島へ。東京でのどかに花開いていた梅や桃がうそのよう。北の国は寒く、焼きの濃いプリント写真のような幻想的な空気感。同行者と“東北イングランド説”を再確認する。

3月6日。夕方になって雲が切れ、晴れ間がのぞく。ホテル周辺歩き、海からの風になびく枯れススキに、アイルランドのアラン島にいる錯覚を起こす。日の入りは5時33分。フロント係にそう聞き、タイミングを見て露天風呂に入る。33分を少し過ぎて、重くたれこめた雲からオレンジの光。ゆっくりと水平線に沈んでいく。緑の光線は残念ながら見えず。海に沈む夕陽を見たのは6年前の南仏以来。あの時は地中海。今度は日本海。人生は楽しい。

3月7日。晴れ。朝早くホテルを出て、北の京都・角館へ。街じゅうが桜だらけ。武家屋敷の黒塀沿いに天然記念物のしだれ桜が並んで植わっている。なんてぜいたくな街。もちろん桜はまだ咲いていないが、これがぜんぶ咲いたら、いったいどういうことになるんだろうと思う。駅のそばで味のある園芸店を見つけ、豆の種、つまり豆を買う。東京は東北よりずっと条件がいいから(温かいから)、簡単に育てられるよと、おしえてくれたおじさんには訛がなかった。

3月8日。晴れ。先日から秋田・乳頭温泉の山あいの宿。まだまだ雪がたっぷり積もっている。食べて、飲んで、寝て、雪を見ながら露天に入って、また飲む。極楽。

3月9日。晴れ。盛岡に途中下車。盛岡は地方でいちばん好きな街。お気に入りの喫茶店をはしごして夕方には新幹線に乗る。家に着きベランダに出る。みんな元気そうで胸をなでおろす。BSでやってた『ペーパームーン』を見て、すぐ寝る。









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寒い寒い海岸そばに、ふきのとうが芽を出していた。お刺身より、ふきのとうの天ぷらを食べたかった。
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津軽半島の小さな村で見つけた小屋。パッチワークみたいな壁面。



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角館の園芸店。種苗店ともいう。豆を育てるための豆がいっぱいあった。木の升で計って売ってくれる。



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