A Rosarian's Diary
2月3日(水)晴れ

のこぎりのことを考えながら眠ったら、鬱蒼とした木の前で“さて、どうしたもんか?”と、はさみを手に立っている自分の夢を見た。少しでも早く昨日やり残したせん定をしてしまおうと、晴天ののどかな井の頭公園を早足で抜けて吉祥寺に行き、ユザワヤで小型ののこぎりを買う。のこぎりを買うなんて、生まれてはじめてだ。そして、その生まれてはじめてのマイ・ノコギリで、昨日残した古い枝をいっきに切り落とす。つるバラは、なんだかずいぶんと小さくなった。そしたら、この木の本質のようなものが、忽然と目の前に明らかになった。

葉っぱや小枝がいっぱいの時はなんとなくカサがあるから気づかなかったが、この木は新しい枝がちっとも元気に育っていない。頼りになりそうな太い枝なんて、ほんの数本で、あとはひょろひょろとひよわなことこのうえない。えんぴつより細い枝は切るというのがせん定のルールらしいが、そんなことをしたら、この子は丸裸。葉はどっさりついても花が咲かない理由がわかった。古い枝を残していたせいか、明らかに栄養が先までいきわたっていなかったんだ。せん定に抵抗なんて、いってられない。土を替えても、肥料をあげても、ああ、こんな基本にずっと気づかなかったなんて。日あたりだって、もしかしてあまりよくないんじゃないか? いちばん単純で大切な本質に、私はいつもなかなか気づかない。ふがいなくて落ちこんだ。
photo
せん定したつるバラ。知らないうちに、こんなに
小さくなってしまった。失敗? かなり不安だが、
新しい芽はいっぱい残っている。枯れて死ぬこと
はない。今後どうなるんだろう? この生長を見守る
ことは、ロザリアン1年生の重要科目にちがいない。



photo
ついでにブルーベリーも散髪。作りたい木のかたちをイメージして枝を切る。木のデザイニングも、せん定の目的のひとつなんだと今さら思いいたる。



Back

(c)1998 Aoki Concept Designing Co.,Ltd.