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09. アオリイカの季節


次 世 代 を 継 ぐ も の た ち


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アオリイカの卵は、3〜9個が1列にならんだ状態でゼラチン質の卵のうに収まっている。卵がふ化するまでには約6週間かかるが、この間、卵は親に守られることもなく波に揺られているだけだ。だが、海中の貪欲な捕食者たちは、不思議にこの卵を食べない。おそらく卵を包んでいるゼラチン質の卵のうに、捕食者たちがきらう物質がふくまれているのだろう。つまり“まずい”ことによって、アオリイカは卵を守っているわけだ。

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卵のなかで6週間を過ごしたアオリイカの幼生は、一人前の姿になっている。ふ化の瞬間が近づくと、漏斗管から水を激しく吹きだして、そのジェット推進によって卵のうの膜を破ろうと何回もアタックする。ついに外に飛び出した幼生は、驚きのためかスミを吐く。そして、なんともうれしそうに泳ぎはじめるのだ。ふ化したばかりの幼生は胴長約5mm、小さなアオリイカが、1年という人生のスタートを切る。



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