これがうわさのアイスランド式ツインベッド。シカシ、ナゼ?



O あとね、スタイリスト的にふしぎだったのは、ベッドの並べかた。ベッドを2つ並べるときに平行に並べないで、頭と頭とか、頭と足もととかをくっつけるようにして、L字型に並べるの。まえに『ムービーデイズ』っていうアイスランドの映画を見たときにもそのスタイルがでてきて、なんでこんなふうに並べるんだろうってひっかかっていたんだけど、今回泊まったホテルのツインルームもそうだった。それはなぜかを、ぜひとも追及したい。


こちらはアイスキャラ・コレクション。北欧各国のアイスクリームブランドのキャラをポラロイドでぱちり。
L 『ムービーデイズ』って、フリドリック・トール・フリドリクソン監督の。私も見たけど気づかなかったなあ、さすがスタイリスト、目のつけどころがちがう! あの映画、ふしぎだったよね。空気感とか時間軸とかも独特だった。

O 黒い服を着た悪魔が馬に乗ってすごくふつうにやってくる場面があったじゃない? あれにはびっくりしたな。でも行ってみたら、そういうことがほんとうに起こりそうなトコだった。

L 同じ監督の『春にして君を想う』もふしぎふしぎのトーンに満ちてたね。もひとつ、『精霊の島』っていうのも見たけど、これはどんより暗い映画で……。あとで英語のタイトルをよく見たら“Devil's Island”、ちっとも精霊じゃないじゃん!って思ったよ。でも、あれがアイスランドの空気なのかな。月まではいかないけど、ちがう星のお話って感じはあったな。

O アイスランドは悪魔の国? って結論づけちゃいけないね(笑)。今、思い出したんだけど、そういえばすごい滝があった。どうすごかったかというと、すごく大きくて激流の滝なんだけど、へだてる柵もなにもなくて、飛びこもうと思えばすぐ飛びこめるような……。なにが言いたいかというと、ここの島の人は家からすぐそこに大自然があるから、自然にどこまで近づくと危険かを、身をもって知っているんだろうなって思ったということ。

N 自分の責任で自然に接している。


動物園で買ったふうせんだとか。絵がソー・キュート。
L 日本だと、なにかあったら施設側の責任になるから、みんなこわがって、すぐ柵をつくったり堤防をつくって、自然を不自然にしちゃう。だから日本人は、外国に旅をしても甘ちゃん感覚が抜けないんだよ。そんな滝になんて行ったら、記念写真撮ろうとして落ちちゃったりして。

N 自分の命は自分で守るという。自律心というか覚悟は、あまりないもの。

O もちろん日本でも、厳しい自然のなかで暮らしている人はそうじゃないと思うけど、都会人はどうしてもね。でも、今度はぜひ冬に行ってみたいなあ。そして、そのつぎはグリーンランドにも……。グリーンランドとアイスランドって名前、ほんとうは逆なの、気づいてた? 氷ばかりのグリーンランドと、緑もあるアイスランド。これって領地として占領されないための作戦だったらしい。

N グリーンランドはかつてはノルウェー、いまはデンマークの領土。でもグリーンランドまで行ったら、もう“旅”っていうより“探検”の部類に入るんじゃない?

O 北の国を訪れるたび、もっと北へ、もっと北へ、どんどんきびしいところに行きたくなる。この気持ちって、いったいなんなんだろう。

N そういう場所ではよぶんなものがどんどん落ちて、ネイキッドな自分に近づけるからかもしれないね。北には、長い人生で付着した汚れとか曇りがいっきにはがれるほど、澄んだ場所っていうのがあるかもしれない。

L 眼鏡の汚れをていねいにふきとると、いきなり世界の輪郭がクリーンになるじゃない? きっと、ああいう感じ。


*ご愛読ありがとうございました。いったん、この連載は終了いたします。




オカオさんこと岡尾 美代子さんは、『フィガロジャポン』『シュプール』などの雑誌でもおなじみのスタイリスト。守備範囲はファッションからインテリアまで! 近ごろ、雑誌『オリーブ』で連載していた雑貨ページをまとめた『ZAKKA BOOK』を発売したばかり(マガジンハウス・刊)。残念ながら休刊中の『オリーブ』ですが、そのあいだはこの本でうっとりしていてください。