N ところで、北欧から子どものためのお話がいっぱい生まれてるのには、なにか理由があるのかな。デンマークのアンデルセン、フィンランドのムーミン、スウェーデンは、そのリンドグレーンときて。

L なんてったって、大御所サンタクロースだって住んでいるし。

N ムーミンは、じつはムーミントロルといって妖精なの、知ってた?


北欧を旅した友だちから届いたムーミンのえはがきと切手。
L 知ってるよ。カバじゃないんだよね。

N トロルというのは、妖精という説もあり、魔物という説もあり。じつは子どもをさらって食べたりするならず者らしいんだけど、北欧では、なぜか恐れられつつも愛されているんだって。

ニッセというカギ鼻の小人もおなじみで、その子たちは、農家の納屋に住みついて家畜の世話をしたりするらしい。クリスマスイブには、この子たちにおかゆをささげる、というならわしがあって、それをおこたると悪さをするんだって。そのニッセが年をとると、サンタクロースになるらしいよ。あ、それはノルウエーでのお話なんだけど。

L 北欧の森って、ほんとうにそういう生き物(?)がひっそりと暮らしていそう。

N 大人でもその存在を信じている人は、いっぱいいるんだって。あの幻想的な自然のなかでは、きっと現実味があるんだろうね。

L そうだよ。24時間明るい日があったり、オーロラとかを見ちゃった日には。この世に人間しかいないことのほうがおかしい感じになると思うよ。

N 日本でも、東北の手つかずの自然のなかにいると、そういうものの存在が素直に信じられるもんね。


上:リネアの絵本。日本語版。ノンノンの小さな庭にて撮影。下:モネのお庭にて植物を観察中のリネアとブルームさん。これはフランス語版。絵と写真と文章の構成がうまい!
L エルザ・ベスコフっていう絵本作家は知ってる?

N ううん。

L たぶんスウェーデンの人だと思うんだけど、水彩でやさしい色の絵を描く人で、シュタイナー教育に興味をもつ人たちのあいだで最近見なおされているんだけど。この人の絵のトーンがすごく北欧的だなあって、私は思うの。アメリカでもヨーロッパでも、もちろん日本にいても、ぜったい、でてこない色彩感覚。

N 私が昔から好きだったリネアも、スウェーデンの子だったのよね。何冊かシリーズで出ていて、最初の本はパリのオルセー美術館で買ったから、フランス語版でポム(=りんご)っていう名前だったの。植物が大好きなポムがモネのお庭にいく話。そのあと日本で同じシリーズの本を見つけて読んだら、じつは作者の女性2人はスウェーデン人で、ポムもじつはリネアというのだと知った。


フランス語版の表紙。リネアがのっているのは、有名なモネの庭の“日本橋”。
L “わたしは葉っぱや花や種が好きです。育っていくものはみんな好きなの”だって。かわいい書きだし。

N 簡単にいえば、子どものための植物栽培読本。リネアには退職した園芸師のブルームさんという友だちがいて、ブルームさんにいろんなことを教わりながら、鳥のこととか、空気のこととか、自然のしくみを学んでいくの。花のかんむりをつくったり、植物オリンピックをしたり、都会に暮らしていても、自然と仲よくするアイディアがいっぱいで、さすがスウェーデンの児童書という感じ。