ロッタ 今日はなんのお話?

ノンノン 今日はおいしいお話。

L 北欧でおいしいって、ぴんとこないなあ。あ、でも、最近目ざめたもので、クネッケってあるじゃない? 乾いたうすっぺらのパンみたいな。あれって地味でまずそうだから“食わずぎらい”だったんだけど、最近人にすすめられて食べてみたら、おいしくて驚いた。いっぺんにリピーター。

N あれは香ばしくておいしい。油脂を使っていないから保存もできて、しかも穀物が主原料で、すごくヘルシーでしょ。


クネッケブロート(ラウンドタイプ)。現地では、まんなかの穴をバーに通して売られているのだとか。マリネなどをのせて前菜として食べるそう。
L うん。穀物をかみしめているような味で、自然をそのままいただきますって感じ。

N もともと北欧のパンはライ麦や全粒粉が主体で、人工添加物が入っていないのがあたりまえなんだから。入ってるのがあたりまえの国にいる私たちって、そうとう貧乏くじだと思わない?

L まあ、パンの歴史、短いし。でもさ、そういえば青山の紀ノ国屋には昔からフィンランドのパンがたくさん並んでるよね。前から思っていたんだけど、どうしてフィンランドなんだろう。

N あれはね(エヘン)、お店のえらい人が、フィンランドでは大腸ガンの発生率がすごく低いというのを耳にして、それはなぜだろうって自ら現地に視察に行ったの。そこで植物繊維の多いライ麦を生かした黒パンが主食なのを見て、これだと思ったらしいよ。

L フィンランドっていえばキシリトール。虫歯の発生率も少ないんだもんね。でも紀ノ国屋さんで昔、見かけのかわいさにひかれて買ったカレリアンピーラッカってパンは、あんまりイケてなかったなあ。


これが、ロッタが食べたカレリアンピーラッカ。ライ麦の生地にひだを寄せ、ミルクで煮たライスプディングを包んでいる。
N お米のパイみたいな。あれ、雪の中で凍らせておくこともできるから、森や山へ仕事に行く人がお弁当で持っていったりするみたいよ。

L つまり、キコリさんとか狩人さんとかの?

N まあ、そうかな……ふつうにスナックとしても食べられてて、ポテト入りとかブルーベリー入りとかもあるらしい。

L へえ。本場のはイケてるのかしら……それとも、大人になったいま食べれば、そのおいしさがわかるのかな。

N きっとそうよ。ライ麦のおいしさって、ふわふわの油脂入りパンに慣れた日本人には、最初はやっぱりわかりにくいもの。あれは、まさに滋味という感じのおいしさ。

L 今度、試してみようかな。自分の味覚の成長ぶりを。