Thinking about Marine Environment!


03 海を守るために:国際的取り組み・地域的取り組み

海の上には、200カイリ経済水域は存在しますが、海洋生物や、漂う汚染物質は
おかまいなしに“国境”を越えます。ゆえに、海洋環境を守るために不可欠なものは、国際協力です。
また、水は河川から工業地域、人口集中地域を通って、海へと流れ出します。
河川に起因する海洋汚染は、全体の70%を占めています。
河川流域とそれに接する海上には、あらゆる利害関係が存在するので、世界共通の規制だけでなく、
地域ごとに総合的な環境保全対策が必要です。瀬戸内海などのように、
海が地域の中心として存在する場合には、より早急な対策が必要となります。


国際的取り組み

現在、国連各機関は、海洋環境保全のための研究、調査、国際規定の設定などの活動を行っています。中心となってきたのは、国際海事機構(IMO)、国連環境計画(UNEP)、国連食糧農業機関(FAO)、世界貿易機関(WTO)、政府間海洋学委員会(IOC)などです。 現在海洋に関する国際協定で、有効であるとされているのは、おもに以下の条約です。

【海洋法に関する国際連合条約】
1994年発効、通称【国連海洋法条約】。
海洋に関する包括的な法秩序の形成を目指す。

【廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約】
1975年発効、通称【ロンドン条約】。
海洋投棄される廃棄物中の有害物質への規制など。近年強化され、原則廃棄物の海洋投棄を禁止。例外を定めた。

【油による汚染に係る準備、対応及び協力に関する国際条約】
1995年発効、通称【OPRC条約】。
油汚染に対する準備、協力を明確にした。


地域的取り組み

UNEP(国連環境計画)は、閉鎖性の高い国際海域の環境保全協力を呼びかけ、現在世界12の海域において、“地域海計画”を採択するように働きかけています。その12番目の海域が、日本海、黄海を中心とする“北太平洋地域海行計画”で日本、中国、韓国、ロシアにより、1994年に採択されました。
地域的な環境改善努力は、さらに小さな範囲で、河川などを中心としたコミュニティによる行動を必要とします。漁業者、政治家、観光業者、林業者、一般市民などで、その流域の環境がどのように循環しているかを把握し、改善に努めることが、ぜひとも必要になってきています。このような活動概念は、統括沿岸管理(ICM)と呼ばれ、今後の進展が期待されます。


国連環境計画(UNEP)地域海計画実施海域

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[出典]地球環境キーワード事典
[参考サイト]International Maritime Organization(国連海事機構のホームページ)【英語】
http://www.imo.org/
海洋環境保全のため条約や規制を樹立する国際機関。




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