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■7月21日ごろ 大自然を走破するだけではなく……

私のアメリカ大陸横断には、大勢の方々が応援してくださっています。まだお目にかかったことのない方も、たくさんe-mailを送ってくださいました。自転車愛好家、ネイチャー・ラバーからのお便りも、たくさん受け取りました。

アメリカ大陸横断となると、大自然、大平原、大農場、大牧場を想像するのは当然でしょう。この国が、自然を大切に保護しようと、最大の努力をしていることもうかがえました。原生林、地球の創生を思わせるような地形にも、身近にふれることができます。そのダイナミックな姿は、百聞一見にしかずと、思わず感動しました。

しかし、こんな自然の姿が、西の海岸から東の海岸まで、ずっと続くわけがありません。出発前の予定にも、“東部に近づくにしたがって車の数が増えるから、気をつけよう”と自分で書いたぐらいですから、西から東まで、大自然が続くと思いたかったのでしょう。

ミネソタ、ウィスコンシン、アイオワと、ミシシッピー川にそったゆるやかな地形に、トウモロコシや大豆が元気よく成長していました。湖も森も、視界を楽しませてくれます。とくに夕方の光がさすころは、自転車をこぐより、カメラのファインダーをのぞいているほうが多くなりがちでした。

アイオワからイリノイに入ると、次第に様子が変わってきます。シカゴに近づくと、地図を見なくても、“ついに来たか”と緊張しだす。

自転車では高速道路(インターステイト)は通れませんが、次のクラスの4車線ハイウェイは通れます。車線の右側をショルダー(路肩)といって、4車線の場合、路肩が広いところがほとんどで、走るのは楽です。でも、安心はできません。ショルダーはアスファルトとは限らず、砂利も少なくないからです。

シカゴは、アメリカ中央の工業都市で、自動車会社の本拠地であるミシガン州のデトロイトとも近い。ですからインターステイト・ハイウェイは、ここから全米各地にのびているのです。

シカゴは、工業の中心だけではありません。穀物取引、牛肉取引と農・牧畜業の中央取引場でもあります。高速道路は、6割がたが、大型トレーラーで占められているのではないでしょうか。若い方々には、なじみうすいかもしれませんが、かの有名な“ルート66”が、シカゴからのハイウェイです。

インターチェンジには、ガソリンスタンドとレストラン、場所によってはモテルがありますが、50〜60台のトレーラーが駐車しているし、給油のための出入りが絶えません。それこそ、ベルトコンベアの上をものが流れている工場のようです。熱気と騒音も、想像以上のものです。

もちろん、中央の高速道路だけではありません。2車線の田舎道でも、トレーラーが主役です。いや、乗用車の数のほうがぐっと少ないでしょう。しかもショルダーが狭く、普通で幅60cm程度ですから、自転車のハンドルをにぎる手だけではなく、全身が緊張します。アスファルトと砂利のショルダーとの段差が、10cm以上もある。

追越禁止の登り坂で、後からトレーラーが来たり、両方から来てすれちがうときは、もう“神頼み”です。何度も、風圧で飛ばされました。そのつど、“50肩”も、よくがんばって支えてくれたと感謝しています。路肩の幅=0、いやマイナスで、白い線のアスファルトが崩れているところも少なくない。州知事に、一筆献上したくなります。

トレーラーの運転手は、皆すこぶる親切です。可能なかぎり、私をよけて通ってくれます。熟練したプロ精神なのだと尊敬しました。注意を要するのが、RV(キャンピングカーなど)です。トレーラーより幅が広く、運転は退職した夫婦が多いようでした。日ごろ乗りなれていない、幅広のクルマの勘がよくつかめていないのでしょう。

雨あがりだと、熱を含んだアスファルトが蒸し風呂のようになり、クルマがはね上げる水しぶきとで、“バカヤロー”と叫びたくなることもあります。

これから東に向かってますますクルマも多くなり、ますます暑さもきびしくなってくることでしょう。こんなことで文句を言うより、早くツーリング・バイクのプロ精神を身につけるよう、精進しようと思います。