navidate
■5月18日 雪の残る山を登りはじめる。

雨の降りしきるなか山道を登りはじめた。ときどき雲の切れ目から飛び出す山肌は、まっ白い雪でおおわれている。垂直に近い絶壁の山々に囲まれていることが予想できた。山の遠近というより平面に見え、日本画や水墨画を見ているような風景である。

渓流は大きな岩が多く、雪どけの水がいきおいよく流れていて、力強い。湿度が高いせいもあって、コケが岩肌や木の幹を美しく飾っている。若葉の中に点在する水木が白い花を咲かせて、色の調和をととのえているようだ。優しさとダイナミックさをあわせもった自然がここにある。

写真家よ来たれ、画家よ、詩人よ、ネイチャー・ファンよ、アウトドア・ラバーよ来たれ、恋する人は恋人とおいで。この自然の美しさと満足感を皆とシェアーしたい。

肩が痛い。50肩、神経痛、リューマチ、悪天候とまさしくNATO連合軍がサラエボを攻撃するように、僕の右肩、腕をめがけて容赦なく攻めたてる。もうお前たちには、美女のセラピストの優しい介護や熱いシャワー、氷、クリーム、サロンパスなどのサービスはできない。化学兵器で対応するしか手はない。そうだ、タイラノー(アスピリン系)でお前たちを鎮圧するのさ。そうでもしないとアメリカン・アルプスといわれている壮大な自然の醍醐味を味わえやしない。また、山を乗り越えることもな。

悪天候でも、それなりの美しい姿を見せてくれるキャスケイド山脈なのだ。晴れ姿で着飾った人も美しい。働く人も、苦労にたえて生きぬく人の姿も美しい。山も同じだ。

遠くで鳥が、大きな声で恋人を呼んでいる。こんなに大きな声を出さなければ通じない鳥は、この大自然に大きなテリトリーをもっているのだろう。

僕の携帯電話は、ここでは使用不能。