神奈川県 道志川 |
左手の升状に区切られた部分がエサ釣り用。右手の流れと上下あわせて600mがフライフィッシング専用エリア。また、そのまま道志川の行程を釣ることもできる。 |
道志川の上流部、道志村にフライフィッシングエリアが99年3月1日よりオープンした。中流部の深い渓谷とちがって、上流部の道志村付近は河原の開けた里川だ。もともと、村営のマス釣り場だったエリアを、この春からフライフィッシング専用に解放することになったのだ。一部、エサ釣り用に升状に区切られている区間はあるものの、その脇の流れと前後あわせて600mほどがフライエリアとなっている。あたりに民家も見え、里川風な趣ではあるのだが、広々とした河原でゆったりとフライを振ることができる。 このエリアはキャッチ&リリースが基本なので、よほど傷んでしまった魚以外は、釣った魚はまたもとの流れに返すのがルールだ。ここではヤマメとイワナが放流されている。このエリアの“ハイブリッド”という名前は、“ここのライセンスを購入すると、道志川漁協全域の河川でも釣りができる”というシステムに由来する。これは今までにない画期的なシステムだ。 このエリアの1日券を購入し釣りをした後で、場所を移動して道志川のほかのポイントでも釣りができるのだ。先に道志川のライセンス(遊魚券1日¥1,000)を他で購入し、後からこのエリアにやって来て差額(¥2,000)を払って釣ることもできる。これならば、ほぼ確実に魚を釣ることができるエリアと、自然の流れとを自由に行き来できるのだ。 このエリアがまだオープンして間もない、3月中旬に出かけてみた。この日は朝から曇りで少し風が強く寒かった。気温は4℃ほどしかない。例年より川の水量は少なく、“ヤマメは釣れるのかな?”と心もとない感じ。 |
水温を計ってみると2℃。魚はいるのだろうか、と川面を見渡すとチャパッ、チャパッとあちこちで魚のライズがあるではないか。岸際にそっと近寄って目をこらすと、いるわ、いるわ、23cm前後のヤマメたちが流れてくる虫を夢中で食べている。何を食べているんだろうと足元をみると、ユスリカの抜け殻が無数に漂っていた。 早速、#20の黒いミッジフライをキャスト。出ました、出ました。なんのためらいもなくヤマメは素直にフライをくわえ、ヤマメらしいすばやさで流れを走りまわってくれる。まだ、エリアがオープンしたてのせいか、とても無垢なヤマメたち。ちょっとした落ち込みでは、30cmほどの精悍なヤマメがドライフライをしっかりとくわえてくれた。 夕方、1時間ほど雲が切れ、陽が射してくると、コカゲロウやユスリカが一斉にハッチしはじめた。それにあわせて、すこし流れの早い瀬でも、大きめのドライフライにジャボッとヤマメが出る。盛夏の釣りを思わせるような爽快な一時だった。結局、この日はイワナの顔を見ることはできなかった。水温がまだ低いせいか、岩の下にもぐりこんでしまっていたのだろうか? それにしても、ヤマメはこんなに素直な魚だったのかと、思い直すほどたっぷりと楽しませてもらった1日だった。魚影の濃い管理されたエリアと、自然のままの渓流でロッドを振れる魅力的な場所といえるだろう。“まだ、なかなかヤマメの顔が見られない”という人や、“1日、存分にドライフライの釣りを楽しみたい”という向きにはおすすめのエリアである。 |
桜が咲く頃からようやく、ドライフライ本番の時期の到来だ。 |
流れの緩い場所では寒さにもかかわらず、ヤマメのライズが続く。 |
体高のあるきれいなヤマメ。元気いっぱいに良く引いて楽しませてくれた。 |
道志川ハイブリッド 住所:山梨県道志村9240番地 Phone:0554-52-2966 入漁料:男性1日¥3,000(道志川 1日遊魚券¥1,000を含む) 女性1日¥2,000(同上) 営業時間:午前8時〜日没まで(定休・火曜日) |