神奈川県 中津川支流・藤熊川

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美しい魚体のイワナ。ヒレもピンと張っている。


神奈川県秦野市からヤビツ峠を越えると、丹沢の山あいを流れる中津川の上流部に出る。その支流となる“藤熊川”の流れをそのまま生かした管理釣場、“フリック”が98年10月に誕生した。藤熊川の約2km区間にヤマメとイワナを放流し、ルアーとフライ専用の渓流釣り場として99年4月からは会員制となる予定。1日の入場者を25〜30人と制限し、釣った魚はまたもとの水に戻す、キャッチアンドリリースが基本ルールだ。なるべく自然に近い環境で、釣り人が気持良く楽しめるフィールドを目指している。

木立ちに囲まれたオートキャンプ場“ボスコ”の敷地内を流れる川の下流部が、そのままルアーフライ専用区間になっている。キャンプサイトで放流したニジマスが下流部のルアーフライ区間に流され、自然のサイクルに馴染んだ、コンディションの良いものが釣れることがあるそうだ。そのキャンプサイト内にあるフリックの駐車場からは、渓流に沿った山道が区間の最下流部まで伸びているので、下から順に釣り上がることができる。

途中、4つの大きな堰堤があり、堰堤下は魚が溜まるので人気の場所になっている。フラットな流れから序々に、段差がある流れへと変化する。流れにじっと目を凝らすと、20cm前後のヤマメやイワナが活発にエサをとっていた。そろそろ本格的な寒さを迎える時期だというのに、日だまりではユスリカが無数に飛んでいた。中にはフライのフックサイズにして#16ぐらいのコカゲロウ(小型のカゲロウ)も混じり、渓流の流れに賑いをくわえていた。
魚たちもその虫たちのハッチにしきりに反応を見せ、流れてくる羽化直前の状態であるイマージャーを活発に補食していた。水面にポッカリと浮くエルクヘアカディスを流しても、魚の反応がないので、水面から半分ボディが沈む#16のパラシュートフライを流すと、パシャッと水面を割ってイワナが顔を出した。

魚の数が多いので、ついつい一つのポイントで時間をかけて粘ってしまう。浅い瀬では、こちらの姿が魚からも見えてしまうので、背をかがめてシビアにアプローチしなければフライをくわえてくれない。その難しさがまた、釣り人を釘づけにしてしまうのだ。

フライをキャストしやすい、開けた瀬はいくつも続いているのだが、そんなわけで1日ですべての流れを狙うには時間が足りないほどだ。

落ち込みの巻き返しの小さなスポットでは、大きめのドライフライをポトッと落としてからしばらくすると、スーッと下からイワナが水面まで上がってきて、ゆっくりとしたモーションでフライをパクッとくわえてくれた。岩陰に隠れている魚は、あまり警戒心なくフライに出てくれた。

年間を通して渓流釣りが楽しめ、寒い時期でもドライフライでの釣りが楽しめる。ただ、冬場は道路の凍結や雪の影響があるので、出かける際は管理事務所に確認することをおすすめする。




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渓流のせせらぎを聞きながらキャンプが楽しめる。キャンプ場内はエサ釣りエリア。
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キャンプ場“ボスコ”のトレーラーハウス。キャンプ場の敷地を縫って藤熊川が流れている。
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瀬ではヤマメやイワナが活発にエサをとっていた。


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木の枝に覆われている場所もあるので、短めのロッドが使いやすい。
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産卵期を迎え、すこしサビの入ったヤマメ。




問い合わせ先:フリック

住所:神奈川県秦野市丹沢寺山75
Phone:0463-74-1952 予約受付 平日9:00〜17:00
99年3月末まで:1日¥4,000(要予約)
*99年4月より会員制になる予定
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