山梨県 本栖湖

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クローズしてしまったキャンプ場跡の浜辺は、駐車スペースが少ないので釣り人もわずか。1日、静かに釣りができる。ラインが風を切る、かすかなキャスティングの音だけが湖畔に響く。


夏の終りから秋にかけて、台風や秋雨前線の通過により降り続いた雨で、富士五湖のひとつ本栖湖は満水になってしまった。大雨のときにだけ湧き水によって現われるという、六つめの湖「赤池」まで精進湖の脇に出現し話題を呼んでいる。

ここ2年あまり渇水のため、富士五湖全体が異常なほど減水していた。湖の北東部分の溶岩帯は露出し、遊覧船乗り場付近の浜辺は、道路から50〜60mほど先にようやく水辺があるといったふうだった。それが今では浜辺はおろか、道路のすぐ下、または駐車場のすぐ下まで水がきている。湖をぐるりと一周取り囲む道路も、山側は冠水箇所があり通行止めとなっていた。みやげもの屋のおばさんの話では、「一時は目に見えて水位が上がっていった」というから自然の力には改めて驚かされる。

そんなわけで、普段なら湖南岸の川尻ワンドに集結しているウィンドサーフィンを楽しむ人々が、通行止めのため皆レイクサイドキャンプ場側にやって来た。カヌーを楽しむ人達もいる。ルアーを投げる子供たちや、もちろんフライフィッシャーも。雲ひとつない晴天でぽかぽかと暖かい秋の1日、本栖湖は大賑わいだった。
満水になってしまった分、岸から水の中に立ち込んでの釣りにはポジションが限られ苦戦してしまった。急に深く底がエグレている手前に立ち込んでいると、エグレの淵を30〜40cmの魚体が何度も通っていった。ヌッと泳いでいく様子からするとあれはバスだったのか、トラウトだったのか。

ボートからルアーを流しながら釣るハーリングが一隻あったが、目の前を通りすぎる度にヒットしていた。レインボウというよりは、バスの方が多かったようだ。トンビが水面に急降下し、20〜30cmの魚を口にくわえていった。コンコンとフライをくわえるアタリが一度あったものの、この日はオデコ。太陽を遮ることのない澄みきった空気のなかで、すっかり日焼けしただけで終ったのだった。

最深部が126mと懐が深い本栖湖では、数は少ないがヒレのきれいな大きなブラウンが釣れることで有名だ。熱心に通うフライフィッシャーも多い。最近では漁協がレインボウの放流も始めたので、このレインボウたちがたくましく美しく育ってくれるのが楽しみだ。





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本栖湖レイクサイドキャンプ場。松林の中に広がる広大な敷地のなかで、思いおもいにキャンプを楽しむ人々。
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実をつけた木々が、増水のためすっかり水没してしまった。キャスティングのしやすいバックのとれる場所もほとんど無くなってしまった。


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雲ひとつない秋晴れの下、悠々とカヌーを漕ぐ。午後からはウインドサーファーもぞくぞくと集まってきた。
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富士山を望むログハウスは湖畔の有料トイレ。1回50円以上をボックスに入れるようになっている。




本栖湖

住所:山梨県西八千代郡上九一色村本栖
問い合わせ先:本栖湖漁業協同組合
遊魚券:1日800円(ひめますを除く全魚種)
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