2000年7月30日 黒石ねぷた祭 青森県・黒石市より

青森県といえば“ねぶた祭”。しかし、このねぶた祭、正確には“青森ねぶた祭”といって、青森市内で行われるものだけが有名になったものです。じつは8月初旬を中心に、県内では各地でねぶた祭が行われているのです。名称も、“ねぶた(nebuta)”もあれば、“ねぷた(neputa)”もあります。7月30日、県内でいちばんはじめに祭りがはじまった黒石では、“ねぷた(neputa)祭り”といいます。このねぷた祭は、子供たちのために行うお祭になっています。


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ねぶた祭は、“燈篭(とうろう)流し”が原型です。津軽藩主が大きなおばけ燈篭を作って、あたかも川を流れているかのように人に運ばせ、ゆらりゆらりと街を練り歩かせたのが由来。


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青森ねぶたとちがって、黒石はねぶたの形が扇形をしている扇ねぶたが主流です。子供の背丈ほどのものから、ビルの3階ぐらいまで届くものまで、市内の子供を中心に引いて歩きます。

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扇ねぷたの表絵は、“鏡絵”と呼ばれます。中国の古典である“三国志”や“水滸伝”に登場する戦国武将の奮戦を題材にしたものが多く見られ、県内のねぶた祭のなかでも、黒石のものの繊細な色使いは最も特徴的といわれています。


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同じねぶた祭でも、各地で掛け声やお囃子の節がちがいます。黒石では“ヤーレヤーレヤー”の掛け声とともに、子供たちの奏でる笛・太鼓・手振り鉦のゆっくりとした節まわしになっています。

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黒石のねぷたの特徴のひとつに、“見送り絵”があります。勇壮な表の絵柄に対して、裏の絵は対照的にしっとりとした美人画や幽霊画などが描かれ、その後姿を見ていると、去りゆく短い東北の夏を物悲しく思う人々の思いが感じられます。

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3時間かけてスタートした74台のねぷたの運行の最後は、直径3.68m、長さ4.25mの大太鼓“もつけ太鼓”でした。黒石の名物です。