2000年6月10〜18日 八甲田山を彩る小さな花たち 青森県・八甲田山より

春の訪れが遅い山は、あっという間に春から初夏になってしまいます。その短いあいだに、数々の花が入れかわり立ちかわりくピークを迎えます。同じ場所に2、3日おいて行ってみると、もう咲いている花が変わっている。もう一度その花が見たければ、来年訪れるしかないのです。厳しい冬のあいだ、雪の下でエネルギーをためていた植物も必死でしょうが、それを見逃すまいとするこちらも必死です。


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“タニウツギ”
いま、八甲田山に行けば誰もが気づく花です。山の斜面、道路脇、いたる所で見かけます。1つ1つの花は大きくありませんが、縦にも横にも2mくらいまで伸びる大きな木です。


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“フデリンドウ” 萱野(かやの)高原にて
1つの花が1cmくらいの小さなリンドウです。自然の芝生のなかでひっそりと咲いているので、うっかりすると踏んでしまいそうです。

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“ヒメシャクナゲ” 田代湿原にて
北海道や中部以北の湿原特有の植物です。5mmくらいの花が、1株に3〜5個ほど付いています。


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“ワタスゲ” 田代湿原にて
このワタスゲ、今年の田代湿原では数が少ないように思えます。冬の雪の量や降るタイミングが影響するのでしょうか? 耳掻(か)きの頭にそっくりだと思いませんか?

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“レンゲツツジ” 田代平(たしろたい)にて
八甲田山は、雪中行軍遭難事件で有名です。映画にもなりました。その雪中行軍が遭難したのがこの田代平。レンゲツツジの群生地としても有名なので、映画のなかでも、緒方 拳さんが吹雪のなかで見る幻覚シーンで登場しました。

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“イワナシ” 田茂萢岳にて
1cmくらいの釣鐘形をした花です。まっ赤な実になり、味や歯ごたえが梨に似ていることから、この名前がつきました。