2000年6月4日 壬生の花田植 広島県山県郡千代田町より

“壬生の花田植”という、田植えのお祭りです。広島県は千代田町で、国の重要無形民俗文化財に指定されている“花田植”が開催されました。この地方にはかつて“囃(はや)し田”という古い行事があり、それは田の神を祭り、無病息災と豊穣を願う農耕儀礼であると同時に、苦しい田植えを楽しいものにするためのものでした。
この“壬生の花田植”は、江戸中期から行われてきたもので、数ある花田植の行事のなかでも大規模なものになっています。当日は朝から曇り空で、一時期は雨が降るのでは……という心配もありましたが、天候は行事が進むにつれみるみる回復し、最後には青空につつまれ、とても暑い1日になりました。


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祭りでは、地元の有志によりいくつかの踊りが披露されました。これはそのひとつ、“日の山おどり”。


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昔懐かしい、“代掻き”のようす。現在はトラクターを使って行われている作業です。かつては人力で、ときに牛や馬を使って行われていました。美しく飾りつけられた牛たちによって、地面がならされていきます。

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この祭りのメインである、花田植の風景。“サンバイ”が指揮をとる音頭にしたがい、太鼓・笛・手打鉦などの囃しにあわせ、早乙女たちが田植唄を唄いながら苗を植えていきます。

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14頭でてきた飾り牛のなかでも、群をぬいて大きかった一番牛。体重は約1トンほどあるとか!
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“花笠おどり”の衣装。壮観です。中央に芯花を置き、その周囲に垂れているのは造花を飾りつけた細い竹です。高さは1mを超え、径は2m近くあり、まとうだけでもひと苦労です。ちなみにこれを着て踊るのは、男性の役目です。