犬ゾリは、すべて木製であるが、犬のつなぎ方には、大きくわけて2種類ある。チャチルなど西部極北では、1本のロープの先頭にリーダー犬をつなぎ、その後方に左右2頭ずつつなぐ直列(タンデム)方式である。一方、東部極北では、リーダー犬を扇型の中心にし、それぞれ長さの異なるロープで他の犬をつなぎ、配置する扇形方式である。
いずれも一長一短あるようだが、それぞれ自然条件を重視したものである。氷原に木が顔を出していたり、チャチル周辺のハドソン湾のように、川などから海に真水がなだれむため海氷に大きな“こぶ”が多いところでは、直列方式を使う。扇型方式では、綱が障害物に絡んだり、ソリが転倒するというのが、その理由だ。逆に、平坦なツンドラや海氷が平らな地形のところでは、氷に割れ目などがあっても、犬が同時にそのなかに落ちるのを防ぐことができるという理由から、扇型方式が使われる。
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