Following the Pass of Polar Bears.


チャチルの太古の岩  36億年の眠りから覚めた“太古”に会える驚き

チャチルの海岸では海底の地殻が隆起して、岩盤が地球の骨のように露呈している。 岩盤は鉄分を含む黒っぽい玄武岩からなっている。この岩石は36億年前、先カンブリ ア時代(25〜40億年前)に生成されたものである。地球誕生時からずっと変わらぬ姿 で、チャチルの地にどっかと腰をおろしているのだ。
写真のキツネの脚もとのつるんとした岩もその一部である。地球上最古といわれる岩石に出会えるところは、ここやカナダの一部にしかない。氷河期には重い氷の下で眠り続け、その氷河の移動で、水晶のような光沢を得た岩だ。
1万年前、人類が集落を作りはじめメソポタミアに文明の起こった頃、チャチルはまだ2キロメートルもの厚い氷の下にあった。自分の足で氷河が削った岩盤に立つと、一挙に地球の歴史46億年を意識せざるをえない。このタイムラグに、宇宙の旅人であるかのような想いに駆られる。そしてここの石たちは、壮大な地球のドラマを見てきた証人でなのである。


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